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クリーニングに通っているのに、むし歯や歯周病になるのはなぜか

「言われたとおりクリーニングに通っていたのに、またむし歯になりました」

 

「毎回同じ歯ブラシやフロスの話ですが、これでよいのでしょうか」

 

このように感じる方は少なくありません。まずお伝えしたいのは、通院が無駄だったということではありません。ただし、**クリーニングだけで、むし歯と歯周病のすべてを防げるわけでもありません。

「クリーニング」の研究は何を比べているのでしょうか

研究でいうプロフェッショナルクリーニング、歯周病治療後のサポーティブケア、定期健診は同じものではありません。着色除去だけ、歯石除去、清掃指導、歯周ポケットの再検査、必要部位の再治療など、内容が研究ごとに異なります。そのため「通えば効く」「クリーニングは無意味」と一括りにすることはできません。

 

むし歯と歯周病では、予防の中心が異なります。

 

むし歯はクリーニングだけでは説明できません

むし歯には、過去のむし歯経験、フッ化物の使用、砂糖を含む飲食の頻度、唾液、露出した歯根、矯正装置やかぶせ物、生活背景などが関係します。

 

特に、過去にむし歯を繰り返していることは、今後のリスクを考える重要な情報です。毎日のフッ化物配合歯磨剤の使い方や、甘い飲み物・間食の回数を確認せず、表面の着色や歯石だけを取っても、原因が十分に変わらない場合があります。

 

既存記事「定期メインテナンスは本当に効果があるか?」でも説明したとおり、プロフェッショナルクリーニングそのものが、単独でむし歯をどの程度減らすかを示す強い証拠は限られています。これは「予防できない」という証明ではなく、試験が少ない、介入内容が一定しない、フッ化物など他の要因を分離しにくいという意味です。だからこそ、クリーニングに加えて何を確認するかが大切です。

歯周病ではプラーク管理と治療後の管理が重要です

歯周病では、歯と歯ぐきの境目にあるプラークへの対応が基本です。歯石は表面が粗くプラークが残りやすいため、必要に応じて医院で除去します。

 

一方、歯周ポケットが深い、歯並びやかぶせ物によって清掃しにくい、喫煙している、糖尿病の状態が不良などの場合、同じ回数のクリーニングだけでは十分でないことがあります。

 

歯周病治療後に継続して管理を受けている人は、受けていない人より歯を失いにくいという複数のシステマティックレビューがあります。ただし、その多くは観察研究です。通院できる人は、喫煙、健康行動、社会的背景なども異なる可能性があり、サポーティブケアだけの因果効果を完全には分離できません。それでも結果の方向は概ね一致しています。

 

一方、「すべての人が3か月ごとなら最善」とする証拠は弱く、適切な間隔は歯周病の重症度、残存ポケット、出血、喫煙、糖尿病、セルフケアなどから個別に考えるのが妥当です。

毎回同じ指導ではなく「今の問題」に合わせます

フロスが必要な場所、歯間ブラシが合う場所、通常の歯ブラシで十分な場所は同じではありません。すべての道具を全員が毎日使えばよいというものでもありません。

 

例えば、

 

- 新しいむし歯ができた場所と食習慣を確認する

- 使用中の歯磨剤のフッ化物濃度と量を確認する

- 出血している部位と清掃できていない部位を照合する

- 歯周ポケットが治療後にどう変わったか確認する

- 無理なく続けられる清掃方法に絞る

 

といった調整が必要です。

保険診療で行う検査と再評価の意味

歯周病では、歯周ポケット、出血、歯の動揺などを検査し、歯石除去や清掃方法の調整後に再評価します。これは単に同じ処置を繰り返すためではなく、改善した場所と残った問題を分け、次に必要な処置を判断するためです。

 

むし歯についても、以前の状態と比較し、新しい病変が増えているのか、進行しているのかを確認します。

 

定期通院の目的は「毎回同じクリーニングを受けること」ではありません。現在の状態を測り、前回と比べ、必要な予防や治療を調整することです。ただし、個別化した指導が一律の指導より、むし歯や歯の喪失をどの程度減らすかについても直接的な比較研究は十分ではありません。臨床的な合理性と、証明された効果を分けて説明する必要があります。

出典

 

1. NICE. Dental checks: intervals between oral health reviews. CG19.

2. Sanz M, et al. Treatment of stage I-III periodontitis—The EFP S3 level clinical practice guideline. J Clin Periodontol. 2020.

3. Lertpimonchai A, et al. The association between oral hygiene and periodontitis: a systematic review and meta-analysis. Int Dent J. 2017. PMID: 28646499.

4. 厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物配合歯磨剤」

5. Azarpazhooh A, Main PA. Efficacy of dental prophylaxis for prevention of caries and gingivitis: a systematic review. Br Dent J. 2009.