骨粗しょう症の治療薬の中には、抜歯やインプラントなどの歯科口腔外科処置を行う際に、あごの骨の治癒に注意が必要な薬があります。
代表的なものに、ビスホスホネート製剤、デノスマブ製剤などがあります。これらの薬を使用している方では、まれに薬剤関連顎骨壊死、MRONJと呼ばれる状態が問題になることがあります。
ただし、骨粗しょう症の薬を飲んでいるからといって、すべての歯科治療ができないわけではありません。薬の種類、使用期間、全身状態、口の中の感染や歯周病の状態、予定している治療内容を確認し、必要に応じて主治医と連携して判断します。
※少し長いので要約は最後にあります
薬剤関連顎骨壊死のポジションペーパーでは、抜歯、インプラント埋入、根尖部の外科処置、歯周外科処置など、あごの骨に直接処置が加わる治療では注意が必要とされています。
また、治療そのものだけでなく、合わない入れ歯、強すぎる噛み合わせ、口腔衛生不良、歯周病、根の先の炎症など、口の中に感染や慢性的な刺激があることもリスクに関係するとされています。
一方で、根管治療や矯正治療は、抜歯など骨に直接侵襲が加わる処置に比べると、顎骨壊死との関係は小さいと考えられます。ただし、口の中の感染や炎症を放置しないことは大切です。
以前は抜歯などの前に休薬を検討することもありましたが、現在は、休薬によって顎骨壊死が減るかどうかについて十分に明確な根拠はないとされています。自己判断で薬を中止するのではなく、処方している医師と歯科医師が相談し、治療の必要性や口の中の感染状態を確認して判断することが重要です。
薬を始める前から口の中の感染源を減らしておくこと、薬を使用中も歯周病や合わない入れ歯などを放置せず、口腔内を清潔に保つことが推奨されています。
まとめますと
骨粗しょう症薬を使用中の方は、抜歯やインプラントなどの処置で顎骨壊死に注意が必要な場合があります。
ただし、薬を使用しているからといって、すべての歯科治療ができないわけではありません。
休薬は自己判断で行わず、処方している医師と歯科医師が相談して判断することが重要です。
歯周病、根の先の炎症、合わない入れ歯など、口の中の感染や慢性的な刺激を減らすことが大切です。
骨粗しょう症薬を始める前、また使用中も、定期的に歯科を受診して口腔内の状態を確認することが推奨されています。
お心当たりの方はご相談ください
参考資料:
薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023
https://www.jsoms.or.jp/medical/pdf/2023/0217_1.pdf
厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎