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予防歯科歯を守るということ①

現在ネットには様々な情報が溢れています。

「歯を守るためには○○を必ずやりましょう」
「○○をすれば大丈夫」


等を散見しますね。

それらをすれば歯科医院に行かなくても大丈夫なのか?今回は予防についてを書いてみたいと思います。
まず前提として○○をすれば大丈夫は本当であり嘘でもあります。なぜでしょうか?
予防法の多くは必ずメリットとデメリットが有ります。お口の状況は個人個人違います。
ある予防方法は人によってはメリットとデメリットのバランスがかわりデメリットが上回ったり、メリットが上回ったりと変わってしまいます。
つまりやらない方が良いことも人によってあるという事です。

歯ブラシは歯の約60%しか汚れが取れないので必ずフロスや歯間ブラシを使いましょうというものをよく見ます。
これはある論文が引用されています。


確かに論文では60%しか歯垢が取れていないようです。
なるほど!それならば歯間清掃を必ず行わないとならないと思ってしまいます。

まずこの論文では歯茎が下がり歯と歯の間に隙間が空いている方でデータを取っているようです。隙間があればそこにはプラークがたまります。そして歯ブラシでは届きません。



逆に歯茎が下がっておらず隙間がない人は歯ブラシでプラークが十分に取れる可能性があります。
 
ではやらないよりもやった方が良い可能性があるならやる方が良いのでは?と思われる方もいるでしょう。
しかし歯冠清掃を行うことは非常に手間もかかります。そして器具の購入も必要になります。
人にはそれぞれバックグラウンドがあり、忙しい、怪我をしている、時間が取れない、他にも様々なことがあります。その中で必要のない可能性のあるものを強いることはデメリット以外の何物でもありません。
また、歯間清掃は必要がない場所に対して行うことにより歯茎を傷つけたり、歯茎が下がったりする可能性もあります。

つまりその方のお口の状況によってはデメリットが大きくなる可能性があります。
また同じ人であっても歯の並びや状況によって必要な場所や不必要な場所もあります。

それらを一般の方がご自身で判断することは難しいです。

そしてさらに付け加えると60%しか取れない状況が必ず悪いとは言えません。
お口の中で問題になる疾患の代表は虫歯と歯周病です。

歯周病はプラーク付着による歯茎の炎症です。炎症があれば治療が必要ですが炎症が無ければ必要ありません。
極端に言えばプラークがついていても炎症が無ければ歯周病ではありません。
※専門家の判断が必要です
これは個人の細菌に対する感受性なども関わりますので詳細は割愛します。

何が言いたいかと言いますと予防に必要なことは、プラークが取れることではなく炎症が治まる効果があることです。少し難しいお話になりました。つまりそれほど複雑なことを考えたうえで清掃方法や器具を選択しなくてはならないのです。

また、以前に書きましたが虫歯に関しては物理的にプラークを除去することは世界的に予防として推奨されていません。現在エビデンスがあるものはフッ素の使用です。
これ等も闇雲に使用すれば良いわけではありません。必ずメリットやデメリットが有ります。


虫歯の予防など続きは次回に