入れ歯が痛い、食事中に外れる、ガタガタして噛めない。さらに、突然割れたり、人工の歯が取れたりすると困ります。
他院で作った入れ歯だから相談しにくい、と心配される方もいますが、磯野歯科医院では他院で製作した入れ歯も、状態を確認して可能な範囲で対応します。
入れ歯の研究で分かることには限界があります
入れ歯の痛み、外れやすさ、満足度には、顎堤の形、唾液、噛み合わせ、入れ歯の設計、全身状態などが関係します。調整、裏打ち、修理、新製を直接比較した質の高い試験は多くなく、以下の判断の多くは診察所見と補綴学上の原則に基づきます。
痛い入れ歯を我慢し続けないでください
新しい入れ歯では調整が必要になることがあります。しかし、強く当たる場所を我慢して使うと、粘膜に傷や潰瘍ができることがあります。痛む場所、いつ痛むか、どの食べ物で困るかを教えてください。
受診直前まで全く使わないと当たる場所が分かりにくくなる場合がありますが、強い痛みや出血があるときは無理に装着せず、予約時にご相談ください。
外れる、ガタガタする原因
顎の骨や粘膜は少しずつ変化します。入れ歯の裏側と粘膜の形が合わなくなるほか、噛み合わせ、人工歯の摩耗、唾液、口腔乾燥、支えとなる歯の変化なども影響します。
単に裏を埋めればよいとは限らないため、入れ歯とお口の両方を確認します。
割れた入れ歯を瞬間接着剤で直さないでください
家庭用接着剤を使った自己修理と歯科での修理を比較した臨床試験は見当たりません。ただし、位置がずれたまま固まると正確な修理を難しくすること、口腔内使用を前提としない材料が粘膜に触れることから、自己修理を避けるという助言には合理性があります。これは効果を定量した研究結果ではなく、安全面と修理工程に基づく注意です。
割れた破片や取れた人工歯は捨てず、容器に入れてお持ちください。ご自身で削ったり、熱湯をかけたりしないでください。
入れ歯安定剤は使ってはいけないのでしょうか
入れ歯安定剤は、適切に使えば総入れ歯の維持や安定、咀嚼を補助する可能性があります。システマティックレビューとメタ解析では改善が報告されていますが、研究間の違いが大きく、盲検化が難しい研究や小規模研究も含まれます。部分入れ歯や著しく不適合な入れ歯へ、そのまま結果を当てはめることもできません。
ただし、合わなくなった入れ歯を長期間ごまかすためのものではありません。毎日多量に必要、1日に何度も追加する、傷がある、入れ歯が明らかに動く場合は、調整や修理、新製が必要か確認します。
調整・修理・新製はどう判断しますか
- 一部だけ当たる:調整で改善できることがあります
- 裏側が合わない:裏打ちや修理を検討します
- ひび・破折・人工歯脱落:状態により修理します
- 大きく変形、繰り返し割れる、噛み合わせが崩れている:新製を検討します
- 支えの歯や粘膜に病気がある:先にその治療が必要な場合があります
見た目が気になる場合も、金具の位置、人工歯、入れ歯の設計、保険・自費の選択肢を確認します。すべての希望を同時に満たせるとは限らないため、優先したいことを伺いながら考えます。
出典
1. American Dental Association. Denture Care and Maintenance.
2. Shu X, et al. A systematic review and meta-analysis to evaluate the efficacy of denture adhesives. J Dent. 2021;108:103638. PMID: 33727079.
3. Elabbasy N, et al. Efficacy of denture adhesives in complete denture wearers: a systematic review. Spec Care Dentist. 2021. PMID: 33438306.
4. American College of Prosthodontists. Evidence-Based Guidelines for the Care and Maintenance of Complete Dentures.
